
カボスとすだち、あなたは違いを説明できる?
いざ料理やメニューで見かけると「どっちがどっちだっけ?」となりやすい2つのペア。
分かりやすい違いは「大きさ」「生産地」「果肉の色」「味の特徴」である。
今回はその違いを一つずつ整理して紹介しよう。
カボス(香母酢)
- 大きさ: テニスボールくらい(大きめ・約100〜150g)
- 主な産地: 大分県(全国シェアの9割以上)
- 果肉の色: オレンジ色
- 味の特徴: 酸味がまろやかで、ほのかな甘みもあり。果汁がたっぷり絞れるため、焼き魚や鍋物、ポン酢の材料によく使われる。
また、大分県では餌(エサ)にカボス果汁を加えて育てた「かぼすブリ」や「かぼすヒラメ」などの養殖魚のブランド化も進んでおり、地域の特産品として広く親しまれている。
すだち(酢橘)
- 大きさ: ピンポン玉くらい(小さめ・約30〜40g)
- 主な産地: 徳島県(全国シェアの9割以上)
- 果肉の色: 黄緑色
- 味の特徴: キリッとしたシャープな酸味と、爽快な香りが特徴。うどんやそば、松茸の土瓶蒸しなどに「スライス」(または「半分にカット」)して添えられることが多い。
ちなみに、つけめんで有名な「つじ田」で提供されている半分にカットされた柑橘類は、この「すだち」の方である。また、徳島県では毎年「すだちの日」(8月8日)が制定されているほど、地元での愛着の強い食材でもある。
それぞれの名前の由来
- カボス※諸説あり
最も有名なのは、江戸時代に皮を刻んで燻(いぶ)し、蚊を追い払う「蚊いぶし」に使っていたことに由来するという説である。「蚊いぶし」が「かぶし」に変化し、それが「カボス」になったと言われている。
このほかにも、いくつかの異説がある。
- ダイダイの古名からの転訛説:カボスの古名「カブチ」は、ダイダイを指す最も古い名でもあり、そこから変化したという見方(平安時代中期(918年頃)薬物辞書『本草和名』に書物として初めて登場)
- 「カブチ」からの変化説:「カブチ」が「カブス」となり、「カボス」に変化したとする説(この場合トリカブトの塊根から作られる猛毒の生薬「附子(ぶし)」にちなんだ「蚊附子(かぶす)」の意味も考えられるという)
- 「皮干(カハホス)」からの変化説:食用にした後、貯蔵しておいた皮を翌夏に燻して蚊除けに使うため、「カハホス」が変化したという見方
漢字表記の「香母酢」は、「香りがよい酢(果汁)」という意味を込めて音に合わせた当て字だそうである。別表記の「臭橙」は、ダイダイの別名としても使われる漢字である。
なお、「カボス」という名前が文字として初めて登場したのは、第二次世界大戦後、昭和中期になってからとされており、それ以前の詳しい記録は少なく、正確な由来は「はっきりしない」というのが実情のようである。
- すだち
カボスに比べるとシンプルである。
すだちは、果実から搾れる豊富な果汁を「食酢(す)」として使っていたことに由来し、「酢の橘(たちばな)」から転じて「酢橘(すたちばな)」と呼ばれるようになり、それが変化して現在の「すだち」になったとされている。
漢字表記の「酢橘」はこの由来をそのまま表したものである。なお、由来にちなんで「巣立ち」「酢立」といった当て字が使われることもあるようである。
ちなみに植物学的には、すだちもカボスも片方の親はユズとされているが、カボスのもう一方の親は東南アジア原産のクネンボであるのに対し、すだちのもう一方の親は未詳で、徳島でユズが野生の柑橘と自然交雑して生まれたと推定されている。
まとめ
カボスは「大きくて果汁が豊富、まろやかな酸味」、すだちは「小さくて香り豊か、シャープな酸味」というのが大きな違いである。
用途としても、カボスは果汁を「搾って」使うことが多いのに対し、すだちは「スライスして」(または「搾って」)香りを楽しむ使い方が中心という点も覚えておくとわかりやすいだろう。
次にこの2つを見かけたときは、ぜひ違いに注目してみてはいかがだろうか。



















