よだれ鶏(中国語では「口水鶏(コウシュイジー/Kǒushuǐjī)」)は、中国・四川省の代表的な冷菜である。
名前の由来
「よだれ鶏」という少し変わった名前は、
「見ただけでよだれが出るほどおいしい鶏料理」
という意味から来ている。
中国語の「口水(kǒushuǐ)」は直訳すると「よだれ」である。
そのため「口水鶏」は、
- 食欲を強く刺激する
- 香りや見た目だけで食べたくなる
- 思わずよだれが出る
というニュアンスを持っている。
どんな料理?
口水鶏は、
- 茹でた鶏肉
- ラー油
- 花椒(ホアジャオ)
- 醤油
- 酢
- にんにく
などで作った辛味と香りの強いタレをかけて食べる冷製料理である。
四川料理らしく、
- 辛い(辣)
- しびれる(麻)
- 香り高い
という特徴がある。
実は「よだれが出る」は中国語の慣用表現
日本語でも
- 「よだれが出そう」
- 「見てるだけで腹が減る」
と言うが、中国語でも同じような表現がある。
たとえば、
看到就流口水
(見ただけでよだれが出る)
という言い方があり、そのイメージが料理名になったものである。
📜きっかけ
一度聞いたら忘れられないインパクトのあるこの慣用表現の由来は、中国・四川省出身の文筆家・詩人である郭沫若(かく まつじゃく / グオ・モールオ)が、自身の著書『覯事(こうじ)』の中で故郷の料理を回想した一節にある。
「少年時代に故郷の四川で食べた白切鶏(ゆで鶏)のことを思い出すと、白く柔らかい身に、真っ赤なラー油のタレが絡み、想像しただけで口の中によだれが溢れてくる(口水直流)」
この「口水直流(よだれがダラダラ流れる)」という表現から、のちに料理人により「口水鶏(口水=よだれ、鶏=にわとり)」と名付けられ、広まったという。
英語では?
海外の中華料理店では、
Saliva Chicken(直訳)
ではなく、
Mouth-Watering Chicken
(よだれが出るほどおいしい鶏料理)
と訳されることが多い。
英語例:
This mouth-watering chicken is one of the most famous dishes in Sichuan cuisine.
(この「よだれ鶏」は四川料理を代表する人気料理の一つです。)
つまり、「よだれ鶏」は少し奇妙な名前に聞こえるが、実際には「食欲をそそる絶品鶏料理」という意味の、とてもポジティブな名前なのである。
