「ホッチキス」「セロテープ」——どちらも日常的に使う言葉だが、実はどちらも特定のメーカーの商標(登録商標または製品名)である。こうした「一般名詞のように使われているけれど、本来は特定企業の商品名・ブランド名」という言葉は、日本語には驚くほどたくさんある。
このような現象は「商標の普通名称化」と呼ばれ、あまりに広く使われた結果、本来の一般名称よりも商標名の方が定着してしまったものである。今回は、そんな「実は商標」だった名詞を50個集めてみた。
文房具・オフィス用品
- ホッチキス(マックス株式会社ほか) ==> 一般名称は「ステープラー」
- セロテープ(ニチバン株式会社の登録商標) ==> 一般名称は「セロハンテープ」
- サインペン(株式会社パイロットコーポレーション) ==> 一般名称は「フェルトペン」
- マジック(マジックインキ)(内田洋行/寺西化学工業) ==> 一般名称は「油性ペン」
- シャープペンシル(元は早川金属工業=現シャープの商品名から) ==> 一般名称は「繰り出し鉛筆」(現在は商標名自体がほぼ一般名称化)
- ポストイット(スリーエム/3M) ==> 一般名称は「付箋」
- セメダイン(セメダイン株式会社) ==> 一般名称は「接着剤」
- クレパス(株式会社サクラクレパス) ==> 一般名称は「オイルパステル」
- カッターナイフ(オルファ株式会社が発売した際の呼称が定着) ==> 一般名称は「替刃式ナイフ」
- プチプチ(川上産業株式会社の登録商標) ==> 一般名称は「気泡緩衝材」
- アロンアルフア(東亞合成株式会社の登録商標) ==> 一般名称は「瞬間接着剤」
- ボンド(コニシ株式会社の登録商標) ==> 一般名称は「接着剤」。日本では「ボンドで貼る」がほぼ動詞化しているほど定着
- マジックテープ(株式会社クラレの登録商標) ==> 一般名称は「面ファスナー」
電化製品・生活用品
- タッパー(タッパーウェア社) ==> 一般名称は「保存容器」
- ウォシュレット(TOTO株式会社の登録商標) ==> 一般名称は「温水洗浄便座」
- エレクトーン(ヤマハ株式会社の登録商標) ==> 一般名称は「電子オルガン」
- 万歩計(山佐時計計器株式会社) ==> 一般名称は「歩数計」
- バンドエイド(ジョンソン・エンド・ジョンソン) ==> 一般名称は「絆創膏」
- アルミサッシ(特定企業の商品名から広まった呼称) ==> 一般名称は「金属製窓枠」
- フリスビー(ワーム・オー・ダイナミクス社→現ハズブロ) ==> 一般名称は「フライングディスク」
- エスカレーター(元はオーチス・エレベータ社の商標だったが、米国では既に普通名称化) ==> 一般名称は「自動階段」
- ジップロック(旭化成/S.C.ジョンソンの登録商標) ==> 一般名称は「食品保存袋」
- ホッカイロ(桐灰化学株式会社の登録商標) ==> 一般名称は「使い捨てカイロ」
- ウォークマン(ソニー株式会社の登録商標) ==> 一般名称は「携帯型音楽プレーヤー」
- サランラップ(旭化成株式会社の登録商標) ==> 一般名称は「食品用ラップフィルム」
- ハイター(花王株式会社の登録商標) —> 一般名称は「塩素系漂白剤」
土木・スポーツ・アウトドア
- ジャグジー(ジャクジー社の登録商標) ==> 一般名称は「気泡風呂・バイブラバス」
- クロックス(Crocs社) ==> サンダルの一種を指す代名詞として使われることがある
- テトラポッド(不動テトラ株式会社の登録商標) ==> 一般名称は「消波ブロック」
- キャタピラー(キャタピラー社の登録商標) ==> 一般名称は「無限軌道・履帯」
- ラジコン(増田屋コーポレーションの登録商標「ラジコン」) ==> 一般名称は「無線操縦模型」
- ジェットスキー(川崎重工業株式会社の登録商標) ==> 一般名称は「水上オートバイ」
- トランポリン ==> 元は米国で商標だったが、早くに普通名称化したため独立した一般名称は特にない世界的な有名例
- ヨーヨー ==> こちらも海外ではかつて商標登録されていたが、後に普通名称化したため独立した一般名称は特にない定番ネタ
- アクアラング ==> 一般名称は「スキューバ潜水器具」。ジャック=イヴ・クストーらが開発した製品名に由来
- エアロバイク(コナミスポーツ等が使用する呼称) ==> 一般名称は「フィットネスバイク」
化学・医薬品・食品関連
- 正露丸(かつては大幸薬品などの商標だったが、現在は普通名称として複数社が使用)
- テフロン(デュポン社の登録商標) ==> 一般名称は「フッ素樹脂加工」
- タバスコ(マキルヘニー社の登録商標) ==> 一般名称は「ペッパーソース」
- アスピリン(バイエル社の登録商標だが、日本国内では普通名称化) ==> 一般名称は「解熱鎮痛剤」
- シーチキン(はごろもフーズ株式会社の登録商標) ==> 一般名称は「ツナ缶」
- 味の素(味の素株式会社の登録商標) ==> 一般名称は「うま味調味料」
- バファリン(ライオン株式会社の登録商標) ==> 一般名称は「解熱鎮痛剤」
- 味ぽん(株式会社Mizkanの登録商標) ==> 一般名称は「ポン酢しょうゆ」
- オロナイン(大塚製薬株式会社の登録商標) ==> 一般名称は「殺菌消毒用軟膏」
その他の身近な例
- 宅急便(ヤマト運輸株式会社の登録商標) ==> 一般名称は「宅配便」
- クラクション(元はフランスのクラクソン社の商標) ==> 一般名称は「警音器」
- ジープ(本来はクライスラーの登録商標) ==> 一般名称は「四輪駆動車」
- 万引きGメンのような「Gメン」表現も元はFBI捜査官を指す俗称由来(商標ではないが誤解されやすい例として)
- オセロ(株式会社メガハウス/ツクダオリジナルの登録商標) ==> 一般名称は「リバーシ」
まとめ
こうして並べてみると、私たちが日常的に「一般的な言葉」だと思って使っているもののうち、かなりの数が実は特定のメーカーの商標だったことがわかる。企業側からすると、自社の商標が一般名称化してしまうと商標権を維持できなくなるリスクがあるため、「ホッチキス」ではなく「ステープラー」、「宅急便」ではなく「宅配便」と表記するよう呼びかけているケースも少なくない。
普段何気なく使っている言葉のルーツをたどってみると、意外な発見があって面白いものである。ぜひ身の回りの「実は商標」な言葉を探してみてはどうだろうか。
※本記事の情報は執筆時点の一般的な知識に基づいており、商標の権利者や登録状況は変更される場合があるため、正確な情報が必要な場合は特許庁の商標検索(J-PlatPat)等で確認いただきたい。

